こんにちは。「売却の道しるべ」を運営しております福岡の不動産売却エージェント・津田孝幸です。今回は、当社に寄せられた「不動産売却における買取保証プラン(買取保証制度)」に関するご相談にご回答します。「売れなくても買い取ってもらえるなら安心」と思われがちなシステムですが、実は売主様にとって大きな落とし穴が存在することもあります。実例や具体例を交えながら、買取保証の構造と正しい向き合い方について分かりやすく解説します。
【ご相談内容】買取保証は本当に売主にとって得なシステム?
ご相談文 不動会社から「まずは仲介で売り出して、もし3ヶ月以内に売れなければ弊社が査定額の9割で買い取る『買取保証プラン』があります」と提案されました。 売れ残るリスクがないなら安心だと思ったのですが、「保証を盾に適当な販売活動をされた」「安く買いたたかれた」という噂を見て不安になりました。 買取保証は本当に売主にとって得なシステムなのでしょうか?
1. 買取保証の仕組みと「査定額の妥当性」という罠
買取保証とは、一定期間(例えば3ヶ月)は「仲介」として一般の買主様向けに高値での成約を目指しますが、万一、一定期間内に売れなかった場合は、あらかじめ決めておいた価格(査定額の7〜9割程度)で不動産会社が直接「買取」を行うシステムです。売主様からすれば「最終的な売却が約束されている」という強い安心感を得られるため、非常に魅力的に映るかもしれません。
しかし、今回のご相談内容において、最も注視すべきは「その最初の査定額は妥当なのか?」という点です。具体例で考えてみましょう。 たとえば、不動産会社から「仲介での査定額は5,000万円です。売れなかったら9割の4,500万円で買い取ります」と言われたとします。一見すると「4,500万円の最低ラインが保証されていて安心」と感じるかもしれませんが、このロジックでもっとも重要なのは、5,000万円という査定額が安くはないか?という点です。買取保証を付けるということは、不動産会社目線で見れば、仲介で売れない場合は自社で買い取って再販。ここで査定でもトントンで落着させないといけないので、本来のロジックは、買取してもいい金額(4,500万円)を算出し90%で割り戻す(=5,000万円)はず。要するに、買取価格からの逆算で仲介査定価格を提示しているため、ともすればその査定価格が低い可能性が十分にあります。
2. 「安く買いたたかれた」と感じる構造的リスク
ご相談の文面にある「保証を盾に適当な販売活動をされた」「安く買いたたかれた」という不安ですが、残念ながらこのようなリスクは構造的に起こり得ます。もし、最初から不動産会社が「最終的に4,500万円で買い取っても自社の利益が出る(あるいは加工(改装等)して6,000万円で転売できる)」と踏んでいた場合、どうなるでしょうか。仲介で頑張って一般のお客様を探し、数%の仲介手数料を稼ぐよりも、3ヶ月後に自社で4,500万円で買い取って転売した方が、不動産会社が得られる利益は遥かに大きくなります。そのため、販売活動期間中に「本気で仲介で売ろうとする努力」が怠られ、結果として3ヶ月が経過してしまい、「売れなかったので約束通り4,500万円で買い取りますね」と、本来の市場価値よりも安く買いたたかれてしまうケースが存在するのです。
3. 失敗しないための対策:複数社での「買取査定」の比較
では、買取保証の提案を受けた場合、売主様はどのように対処すれば良いのでしょうか。もっとも効果的な対策は、「仲介の査定額」ではなく「各社の直接買取査定額」を複数社で比較することです。1社だけに相談して買取保証契約を結んでしまうと、その会社が提示した「4,500万円」という買取価格が妥当なのか判断できません。他社に直接買取の査定を依頼したら、「うちは5,000万円で買い取りますよ」という買取業者が現れる可能性も十分にあるのです。最初から5,000万円で買い取ってくれる会社があるのなら、わざわざ3ヶ月間も仲介で売れ残るのを待って4,500万円で引き取ってもらう必要はありませんよね。売れ残りリスクを避けて安心感を得たい場合でも、まずは視野を広げ、複数の不動産会社から「直接買取してもらう場合の具体的な査定額」を取り寄せることが、適正な価格を見極める方法ではないでしょうか。
まとめ
買取保証プランを活用する際の重要ポイントは以下の通りです。
- 提示された「仲介査定額」を鵜呑みにせず、査定額の妥当性を疑う
- そもそも最初から仲介で売る気などなく「買取」を狙っていることもあるため、仲介活動が疎かになるリスクがある
- 保証価格で納得する前に、必ず「複数社での直接買取査定額」を比較検討する
「売れ残ったらどうしよう」という不安に付け込まれ、大切な資産を安く手放してしまわないよう、複数の不動産会社に相談をして、比較検討することが大切です。





